終電は間近 浴びるほど酔いしれて 今だけは忘れて 愛のない身体の交わりじゃ 充たされぬと知りながら 恋い焦がれ 月明かり照らされて 枝垂れ桜 声にならぬ声 喜がり踊るの 揺らめいて候 甘い舌を這わせ溶かしてよ 月が綺麗なんて 優しい嘘なら要らないの 貴方永遠なんて求めれば 去ってゆくのでしょう せめて夜が更けるまで 凝視(みつ)めて欲しいの 酩酊(めいてい)へ沈み ふしだらにかげろう 一輪の花が愛に飢え まるで飼い主の帰りを待つ 捨て猫のよう 宵の春 艶やかになびく髪 耳朶(じだ)を食(は)まれ 熱を帯びあてがった 乱れ桜 火照った朧月夜(おぼろづきよ) 貴女の奥果てたいよ 紛い物の愛演じて 身体が欲しいだけ 溺れ堕ちたいなんて 抱えきれないよ 冗談でしょう 汗ばんだ糸結び目に 交わした出鱈目(やくそく) 揺らめいて候 甘い舌を這わせ溶かしてよ 月が綺麗なんて 優しい嘘なら要らないわ 貴方永遠なんて求めれば 去ってゆくのでしょう せめて夜が更けるまで 凝視(みつ)めて欲しいの ねえいつだって 性懲りなく 過ちを重ねて 寄り添った 淋しさだけの篝火(かがりび)