ゆき場ない悲しみをボールに込めて (ホームランしてやる) ホームランしてやる 流れゆくあの雲に憧れたって すり抜けて叶わないこともあるって つき刺さった夏の氷、 騒ぎ立てるつばめたち 飛び上がった白球は 青空に消えていった 渇いた砂をかき集め 限りなく数えている 誰もこの夢を見れない 誰の夢にも届かない それでも、それなのに、 この星は回っている 走り出した後ろには 砕けちった梅の実と 襟足を触る風 踊り出す 水飛沫 つき破った薄い氷 太陽がまばゆいんだ 光のような白球は 青空に吸い込まれていった ホームランしてやる…