海底のアリア ある日目を覚ましたら そこは深い海の中で 私は独りを沈んでゆく 言葉も見えない言えない暗闇で 目にやつした心象の風景 遠く夏が凪ぐ 泡になった本音も虚言も 胸の奥で溺れた声も 誰も知らない 海底のアリア私が歌うわ 孤独になって冷たくなったって 愛を込めて歌うわ 深海のダイバーまた息を絆ぐたびに 辛くなったんだろ 死にたくなったんだろ 気づけば夜の底 白い鯨も泣く 私みたいねと 呼吸は滲んでゆく 過ぎた街を見た ふやけた線路の上から 思い返す全てが歪んで また零れてく 震え切った足を拭った 波の温度とよく似ている 優しい記憶 アリア ただ息を塞ぐたびに 辛くなったんだろ 生きたくなったんだよ 海底のアリア私が歌うわ 孤独になって冷たくなったって 愛を込めて歌うわ 深海のダイバーまた息を絆ぐたびに 辛くなったんだろ 死にたくなったんだろ 海道沿いの駅を背にして撮った 写真を憶えてますか 後方席で自慢気な あなたの馬鹿な話に 何回だって 笑い疲れて泣いていました 声も出せずに 八月そうそう 私はあなたに 掬われていました