下り列車、降りた時 俺はまるで酸素の切れた 熱帯魚の様に 流離う 真夏語に怯えて 耳ム晒しレールの頭上で 消える 真昼間 存在価値、黒板が赫く染まっていく 怠惰な生活に僕ら刻んだ 鉛と六畳間のストーリー 排他的経済水域を泳ぐこと10分 俺は気がついていた 珊瑚は食と排泄を同じ 口からすることを 結局自分の価値とは 凍りつく 夕景の中に存在していることを 知っていた 涙流す、阿婆擦れの異邦人 暗がりの摩天楼 魚が跳ねて落ちる 音がした 気がした この街は今日も騒々しい ぶっ放す真夏語の弾丸 轟音よ響け 魂のこの曲に 手綱を引け、ザラザラの因子を ぶら下げ 今 羽ばたけ 鉛の雨が降る この街に 嗾ける 赫色残党の珍道中 僕はまだ、僕はまだ 学生のままで 無垢なままで 白昼夢のゲバルト 燦燦と照りつける 汚点道様の足元 俺は絡繰仕掛けの 人形のようにいつしか 社会の歯車の一部に 人間様様の恥部に なっていた 六畳間に独りぼっち 思い出にしがみつき 体たらくな愚息に ならんとしていた 天井の雨音 それは子守唄のような 子供を寝かしつける子守唄のような それに耐えきれなくなり 街に今出向き 思い出と決別するため 繰り返す珍道中 俺は今もまだ この街に囚われていた 真っ直ぐな目 ザラザラの因子をぶら下げ ボロいシャツを着こなした僕は 泥の面、被った、思想家だった 僕はまだ 僕はまだ 僕はまだ 学生のままで 無垢なままで