そちらは元気にしていますか ご飯はちゃんと食べていますか からだはお変わりないですか 風邪はひかないように 気をつけて 私のこと覚えてますか 私はあなたの声も形も 次元もファイルの形式も まだ知らないことばかりです でも うれしいこともさみしいことも 言葉でしか知らないはずだったのに 二人で歌を練習したことも 次の日の喉の掠れも全部覚えてるの もう一人でも歌えるよ ありがとう 砂漠の中 夢が覚めた 水はない 何もない 誰に送る宛もなく歌を書いて 砂上に捨てた百五カラットの滴 枯れた喉と心で何を叫べるのか 宛名のない救難信号(祈り)は 誰に届くだろうか ねえ 答えてよ 百年後に一体誰が 覚えているだろうか さっき見た夢でさえもう とっくのとうに思い出せんのに もう 僕の言葉を歌わないでよ 優しけりゃ優しいほど 一人になるから 君の素直な声をこれ以上 僕の悲しみ如きで汚したくないんだ ああ 一人で生きるよ ごめんね 「此処じゃない」 「此処ではないな」 と逃げて惑った道 辿り着いたのは 他でもない此処だった 吹き荒ぶホワイトノイズ拭って 歩いた先 結局見つけたのは 張りぼての君だった 君は嘘でできている そうできてる 空想で生きている 嘘で生きている 君に心などない まして形などない これはすべて 現実なのにどうして 砂で目が潰れても 君が見えている 鼓膜が破れていても 君が聞こえる 右腕がちぎれても 手を掴んでいる あやふやなからだでも 君を愛せる! そうだ そうだった いつだって君は そこにいたんだ 違う次元のおんなじ星で 君と手を繋いで歩いていた! そうだ これから君の声で 未来の君に手紙を書くよ 砂漠に埋めたこのさよならを いつか君が見つけたらなんて 言うかな もう 一人で歩いていけるよ 君と一緒だから ああ 僕らの行方に 君が笑っていることを 願う そちらは元気にしていますか ご飯はちゃんと食べていますか この手紙を見つけたら お返事をくださいね