ギターの旋律が 絵物語に見えるくらい 五線譜を眺めていた 僕は思い出補正をするから 君の物語ではないんだろうけど 何でもない話も 映像編集するみたいに 君の声が巻き込んで 僕の記憶を支配していくよ 僕の物語には 君しかいないほど 本を読むようにはいかないや 君に会えないからさ 言葉を削って 彫刻のように紡いでいる 物語は続くのさ 結末はわからないけれども 物語は続くのさ 伏線などは知りはしない 日々にヒビが入り あみだのように 成り行きまかせの毎日でも 昨日の出来事が サブミナルのように打ち付ける 違和感は混ざらないね 霧雨がじっとりと湿らせて くせ毛の髪をはたく 長い路地は嫌い 普遍と不変ってさ ビニールプールと水のように 僕が入ると溢れて 電車の線がのたうちまわり 細胞分裂するような 生き物みたいだね 嘘をつくようにはいかないや 君の顔が浮かんできてさ 目を閉じたら白い太陽 歌を歌っているのさ 夢も現も寝ても覚めても 歌を歌っているのさ 飛び跳ねた石ころのように 三万回の朝を 迎えようとも 君の影さえ朧げに見えて 僕は思い出補正をするから 僕の物語は君の物語では ないんだろうけど 誰かが君の名前を呼んだ 僕は思わずうなずいていた 誰かの瞳に君が映るから 綻びの時々繋がっていく 五線譜のなか