息をするようにあなたに甘えたのに 春の訪れ あなたを連れ出していった 夜風が僅かに冷えて 私は半歩さがって息をひそめた あなたは恥じらうように 私の瞳越しに 彼女見ている 気づいてないと 思っているでしょう そんなことさえ気にして 目をそらしてしまうの 訝し気にとぼける 鼻先に触る風 いつも通りのようで もっと優しくなったね 恋をしていることはいいことだと あなたを見ていて思うの 桜の間に間に覗いた 月のようにあなたが遠くなって 見上げるとそばにいるようで 息をするように 約束もせずにあなたへ おはようの言葉いらず並んで歩けた 華やいだ河川敷が やけに目立った気がして足を速めた すこしずつ離れていく 浮足立った私を 背中においたままで つま先が冷たいね 今はただ 喪失の香りをかいで かわりに大人になるの てのひらにためこんだ 鼻先に触る風 いつも通りにすごして あなたから離れてく 哀しさの氷砂糖を含んで フードで隠した言葉を 桜の水面に溶かした 花が散ると願いを込めた いつの日か出会えますように いつも通りのようで もっと優しくなったね 恋をしていることはいいことだと あなたを見ていて思うの 桜の間に間に覗いた 月のようにあなたが遠くなって 見上げるとそばにいるようで あなたを好きだということに 気づけてほんとによかった 桜のように私もせめてあなたの肩に 留まらせていてね 今日の日はたださよなら 今日の日はさようなら