苛烈さを増す窓辺から目を背け けたたましい駆動音には耳を塞ぐ かびの台が僕を冷ましていく 代わりに 室外機を通した熱が新たに 次亜塩素酸水まみれの ソフビをくわえた赤子と比べたら 少しの言葉を知って次なる神へと 成り代わる 町へ出なくなって久しい 肌は季節の輪郭を忘れていく お気楽な幸せを知ってしまったが 最後 つれない本物になんて戻れない 喉が渇くのは太陽のせいじゃない 冷たい風の吹くこの部屋のせいだよ 本当に? 蝉時雨が聞こえないのは AirPods Proのせいじゃない 誰にも邪魔されたくないと願った 君自身のせいだよ 人生に遅すぎることはない 吐き気のするきれいごと 何もかもが頭打ちの楽園で これ以上何を望む いつ無くしたのかも分からない忘れ 物を 探しにいくのはバカげている それでもあと少しだけ その言葉を信じたいというのなら 迎えに行こう