焼き魚の香りがこの街にも来て 人々が家路につきだすころ 子どもたちは何かをきっと 覚えている 参照先のない懐かしさを 我々はノイズ あのセピア色 いま声を出してカバン 投げてあの国へと急ぐ サーッて逃げ水のようだ サーッて駆け足のようにまた 消えるだろう サーッてさざ波のようだ サーッて幻のようにまた 消えるだろう ぽかぽかした カーテンの温もりに抱かれ 異次元の世界にくるまるころ 大人たちは何かをずっと忘れている あの日行けたはずのユートピアを コーンスープ パンを浸し食べる いま靴を履いて日差し 浴びてあの国へと急ぐ サーッて