幽けき 夢現と 冷め逝く 時の中で 泳げぬ 月の蜜に 浮かべてた 匂艶 別れは まだ近くに 遮る 川は深く 泡沫に 遊ぶ灯火 儚げに 消えてゆく 小さく寄り添い 繋ぐ指 朱く朱く この 契りをしるべに あの日見つけた 朧の月は 私の胸を 今も焦がして あなたが紡ぐ 月の 美し詩 過ぎし儚き 記憶の底で 眠るあなたの 声が聞きたくても 今はただ嘆きの歌 響く 現世惑いの蝶 夢幻に 色を返す おぼろげに 揺れる光に 包まれ 灯は眠る 千切れた 赤い糸を括る ふわりふわり 舞う 螢火が滲む あの陽の向こう 遠く夢見た 私は独り 今もこの地で あなたは遠く 別つ あの彼方 過ぎし儚き 記憶の先で 眠るあなたの 声が聞きたくても 今はもう聞こえなくて 『ごらん 螢が 昇る』 星が ささめき 紅涙に消える 幸せは 過去になり 私は今も あなたを待つ 一羽の鳥で ねえ 踏み出せる? あの日見つけた 朧の月は 私の胸に 今も漂う あなたがくれた美しい誓い 過ぎし儚き 記憶の底で 眠るあなたの 声が恋しくても 今はただ嘆きの歌 響いてる 追憶の夜は 淡く光に溶ける 帰れない道で 今もあなたが咲う