「黙ってないで なんか言えお前も」 そう言ったって 言うことなんてない なにをして 誰かといても 寂しいばかり ため息ばかり 「あいつなんか かまどの火で 焼かれて当然さ」 お前は誰、何様なんだ どうしようもないな 「ねえヘンゼル、 置いてきたパン屑を お月様が照らしてくれない」 「ねえなんで、 こんなことになったの?」 「大人たちが 食べちゃってたみたいだ」 お食べなさい、 遠慮なんかいらないと 言われ慣れた 純粋な悪が お菓子の家を 食い尽くしたらしいよ。 「黙っていたって なんも変わりゃしないさ」 わかっちゃいるが 舌も気が利かない 何をして 誰かをみても 腐っていつか死んでしまうのに 「お前なんか あの魔女に 食べられて おしまいさ」 お前は誰、なにがわかるんだ 放っておいてくれよ 「ねえヘンゼル、 もし僕が捕まって、 そしたらひとりで お逃げなさい」 「ねえなんで、 みんな眠ってるみたいね、 食べ疲れて 夢の夜半にいるの?」 お食べなさい、 遠慮なんかいらないと 無責任な 純粋な悪は おかしなことさえ、 おかしなことだと 気づきやしないよ。 なにも なにも 求めまいと、 誰も 誰も くだらないと、 何を信じて 誰を信じて それでも 話をしようよ 「ねえヘンゼル、 置いてきたパン屑が 例えば、君の手を取って引いて、」 「ねえなんで、 あなたがいないみたいね」 「大人たちが 食べちゃってたみたいだ」 お食べなさい、 遠慮なんかいらないと 言われ慣れた 純粋な悪が お菓子の家を 食い尽くしたらしいよ。