少し陰った線路と「彼が誰なの」 見えぬ高架下。 世界が今日は輝いて見えた。 さても落ち着く景色の中。 見慣れない非日常に、 嬉し悲しい気分に沈んだ。 錆びついてぼやけた視界でふっと 夕空を見た。 「皮肉なもんだよな」 鮮やかなオレンジだった。 舌打って睨むまなざしでは、 きっと浮かばれないね。 そういってありのままで綻んで。 溢れる言葉、 はやる鼓動は今日も 変わらないから。 致し方なく淡い背景を肴にして飲み 込んだ。 夕顔のようなくすんだ白が、 朝に照らされる夢を描いても 虚しいだけ。 それでいいんだっけ。 昨日も見てた景色が、 こともなさげにふっと透過した。 少しは前に進めているのかな。 実り咲いてひとかどだ。 そうさ、それ以外何があんだ。 つまらなくなったな。 夕暮れに合わせて涼し風。 もっと可憐に踊って。 時は流れるまま。 髪飾りにただ惹かれて。 気がつくと墨が染みてるんだ。 「どうか日よ照らして」 そういって花が散るまでは繋いで。 常世に咲いた、 夏の虚像は今日も変わらないから。 ただ白くたたずんだ キャンバスに哀れ愚痴を書き 込んだ。 夕顔のような霞んだ花が、 朝に照らされる夢を描いても 虚しいだけ。 それでいいんだっけ。 咲けんだ言葉、今も歩幅は、 何も変わらないから。 こんな余り残った人生を肴にして 飲み干した。 雨夜の月にさだめられていたのは 僕の方だ。 やっと気づいたの。 それでもまだ。 溢れる言葉、 はやる鼓動は今日も 変わらないまま。 それでも色の付いた世界に愛着が 沸いてくるんだ。 夕顔のようなくすんだ白が、 朝に照らされる夢を描いてる。 馬鹿らしいだろ? それでいいんだよ。