夢から醒めるその刹那に 懐かしい人の匂いを嗅いだ 長らく焦がれたその影は まっすぐにこちらを向いていた 何も言わぬのは戒めか それとも言葉じゃ足りぬからか 答える術のない私は されるがままに手を引かれた 薄墨の空 やや雲走れば あられ地や 泡沫の箱庭 醒めるだなんて思いもせずに 貴方の手の温もりの その奇跡をただただ思い知る ねぇ現もこうであったのなら 触れたこともない腕の中に 閉じ込められて箱庭 嗚呼 あかねさす 徒然歩く長い廊下に 名前も知らない花が咲く しおれてほどけたその蔓は あてどないふたりによく似てる 朧に霞んでゆく 透けるスカート 終わりのチャイム ただひとつ残りていと恋しきは あられ地や 泡沫の箱庭 何年ももう過ぎた今頃に 貴方またあの日の姿で 奇跡をもたらし戸惑わす ねぇ現もこうであったのなら こんな世界歌などいらない 全て揃った箱庭 もう出られない 泡沫の箱庭 醒めるだなんて思いもせずに 貴方の手の温もりの その奇跡をただただ思い知る ねぇ現もこうであってくれよ 触れたこともない腕の中に 閉じ込められて箱庭 嗚呼 あかねさす それは黄昏じゃない、暁 あとは取り残されたあたしひとり