冷たい風が君を連れていくよ 春の夜に 僕は何も言わずただ立ち尽くして 君を見送った やけに視界の青い午後3時 君の骨によく似た灰が指先で燃える 春の風に揺れてそれは 簡単にポトリと落ちた 意味のない会話と焦りが頭上を滑る 忌々しそうに君は靴ばかり見てる 惰性で買ったコーヒーは もう冷めていた 季節が変わっても全部思い出せる 冷たい風が君を連れていくよ 春の夜に 僕は何も言えずただ立ち竦んで 君を見送った 駅を降りたら春が来ていた 吸い込んだ空気には 確かな質量がある 図々しいほど重たいあの頃の 後悔の匂いだ まどろむ日常が忘れられないでいる 錆び付いた階段に眠そうに座って 甘えたように少し笑ってみせた 季節が変わっても全部思い出せる 先に手放してしまいたいと ふと思ってしまった きっとこの瞬間も いつか消えてしまう 君に恋したことも 冷たい風が君を連れていくよ 春の夜に 僕は何も言わずただ立ち尽くして 君を見送った