傘は刺さぬまま にわか雨がまた 過ぎてくのを待った そのうち乾くから あなたの我がまま 頷くふりをした 笑い声が今 遠くの方から 聞こえた気がした 思い描いていたのは 少しだけ違った 未来を辿った ただ 伝え切れないまま一瞬に 忘れられないまま一瞬に 朝焼けに染まってしまうのは どうして 淡く儚いその一瞬に あなたの全てに染まる気はないのに 傘は刺さぬまま ずぶ濡れになってた それはお互い様 当たり前の日々は 当たり前のことが 起こればよかった 思いは鼓動になって孤独になって 声にはならずに恋になった 触れた悲しみの数だけ 違った幸せに気づいていた ただ 離れたくなるその瞬間に 忘れたくなるその瞬間に 眩しさばかりが浮かぶのはどうして 淡く儚いその瞬間に あなたの全てに染まる 悔しいのに 私は花になって鳥になって 柔らかな朝を歌ってきた 風になって月になって 静かな夜を歌ってきた 一つだけわかっていた 私がどんな私だろうと あなたが笑えばそれでよかった ほら 離れられないと知る度に 忘れられないと知る度に また恋に落ちてしまうけど許して 淡く儚いその一瞬に あなたの全てに染まる気はないのに 雨の匂いがする 笑い声が今 遠くの方から 聞こえた気がした