草むら掻き分け 畦道を行く 夕陽が溜まった池を横目に 泥と日焼けで逞しく見える 少年たちが自転車で通り抜ける 家々の匂いが漂ってくる 嬉しかったこと悔しかったこと 全てを包む夜の帳 ゆらり さらり くるり流れ 幸せだっていつかの優しさも まつ毛に宿る光に透ける 君はどこを走っている? あの夏の匂いのこの風が 君の髪を今日揺らすかもしれない 朝から汗ばむ 勢いづく季節 室外機から漏れる陽炎 涙ポロポロ溢れてくる 逸れてしまった渡り鳥 車窓から見える生活の灯り 知らない街 知らない人 全てにある尊い暮らし はらり くらり すぐに恋しい 思い出だって いつかの風に吹かれ運ばれていって 光に溶けた 君は何を吸い込まれたの? あの夏の大きな空に 今に飽和しそうな夕立に変わるの? ゆらり さらり くるり流れ 幸せだっていつかの優しさも まつ毛に宿る光に透ける 君は何を思っている? 黄昏の中で 少し冷めた風に穏やかに 吹かれているの? 君は今も走っている? あの夏の大きな 空に今に飽和しそうな 夕立に変わるの 夕立に変わるよ 渇いた大地へ