そこらじゅう 剥がれ落ちた皮膚がハラハラと 二度と、かたちを作れないように ベランダ手すりの錆を撫でながら 地面へ向かうカケラを眺めてる ねえ、名前を呼んで 僕を作ってよ 君がそう呼ぶから、かたちを保つよ ねえ、名前を呼んで 僕を確かめてよ 出来るだけ綺麗なものを見せるから 水色、窓際、金魚が泳いで 水槽の泡が割れる音を聞いている 剥き出し、 愛のように見せてくれるなら 此処だけ正しい場所と思わせて カルキが落ちて温い水のなか 君が吐いた息を吸って生きていた カルキが落ちて温い水のなか 泡だらけの瞼、そっと眠りたいよ ねえ、名前を呼んで 僕を作ってよ 君がそう呼ぶから、かたちを保つよ ねえ、名前を呼んで 僕を確かめてよ 出来るだけ綺麗なものを見せるから ねえ、名前を呼んで ちゃんと覚えるから 情けない、しょうもない、 何処へも行けないの ねえ、名前を呼んで 此処だけはせめて 安全な世界と思いたかったの
