今朝 君が死んだ 僕は 朝食を食べた 今朝 君が死んでも 朝陽 は 昇った 空は雲ひとつ無く 電車は7時2分に来る 街は人で溢れる 誰も傘を持たず 君が死んでも 何も変わらない 誰も知らない 時計は止まらない 世界は君の死に無関心で 青空は 涙も流さない だから、僕はせめて雨が降ることを 祈る。天気予報を見る。 目に焼き付ける。噛み締める。 声に出して叫ぶ。 晴れのち曇りのち 静けさのち虚無(ニヒル)のち乾き 晴れのち侘しさのち無気力のち孤独 晴れのち切なさのち痛みのち 悲しみのち雨 君が死んだ日の天気は…雨 今朝 君が死んだ 燕が 屋根に巣を作った 今朝 君が死んでも 菖蒲(アヤメ) は 青い花を開いた 君が死んでも 何も消えない 戸籍も消えない 税金の請求も消えない カレンダーの君の誕生日も消えない (消せない) だから、僕はせめて雨が流すことを 祈る。君の未練を流す。 過去を 夢を 苦しみを 思い出を 寂しさを 嗚呼… 晴れのち曇りのち悔しさのち 怒りのち自責 晴れのち嘆きのち自暴自棄のち嗚咽 晴れのち諦めのち祈りのち 微笑みのち雨 君が死んだ日の天気は 君が死んだ日の天気は…雨