ゆっくりと無音の瞼に落ちてゆく 離人感にグらり誰かの声がする 眉尻の上のあたりが妙に騒ぐ 月光の当たる毛布を撫でている 金縛り解ける螺旋の線虫から あたしの意識は奪い返される 浅すぎる眠りの境の白昼夢 アラベスク第1 番のメロディーに目覚む もしかして本当は幽霊なんて 居ないかもね あたし自身がそうなのかもね 耳鳴りはいつも待ち針みたくある 本当の静寂なんてどこにも無い 聡明な博士になって本の世界 行ってみたいな真っ黒な梟になる 暗がりのなかをじっと凝らせど白く 濁ったまんまいつも頭がぼやけてる 本当に有難いこといくつある いつかの誰かの声はついに止まぬ 月光の当たる毛布を撫でている