誰も私を知らない街で やり直すんだと出て行ったのは もう10年も前の話 なのにまたこの駅にいる 中途半端な田舎で育ち 中途半端な容姿と偏差値(あたま) あきらめられるほどでもなくて だから余計にみじめな私 バレていないつもりだった 愛想笑いも バレていないつもりだった 不釣り合いな恋も 今日こそは 今日こそはなんて 出せないまんまの本気に すがりついている 終着の あの駅について 折り返さずに行けたなら 幸せな私まで 運んでくれると信じて いたかった 地味で根暗なあの子にだけは 負けることなどないと思ってた 選ぶ相手を間違えたなんて 笑いものにして生きてきた バレていないつもりだった 醜い嫉妬も バレていないつもりだった 見せかけの未来も 今日こそは 今日こそはなんて ボタンを押さなきゃ開かない ドアの外は雪 プレハブの 待合室には 私を待ってる人など 誰もいないことなど わかってたはずだったのに 降りれずに 今日もまた 今日もまたひとり 希望に胸をときめかせ 街を去っていく 終着の この駅にいつか 胸を張って帰るんだと あの日の 私のように 今日こそは 今日こそはなんて 出せないまんまの本気に すがりつくしかなかった 偽りの私にはきっと 誰も気づいてはくれない 気づいてはくれないから 窓に映った自分を 見つめてる 誰も私を知らない街で やり直すんだと 出て行けたなら