虫も殺さぬ顔をして ああ 修羅を飼っている 私とあなた うりふたつ つちくれに涙 悪戯に掻い撫で 愉快ですか 貌《かたち》が変わってゆくのは 染まって 後生です ただひとりあなただけ 抜からず笑っているのよ なんて憎らしい それも愛おしい 愚かな流行り病 濁り水も飲み干せるわ そうさせてしまったのはあなた どうか棲まわせて あなたの瞳に 奪ってしまいそうよ 私のものでないのならば 誰のものでもない 剥いた果実の化けの皮 虫も殺さぬ顔をして 腸の奥に ああ 修羅を飼っている 私とあなた うりふたつ ふらふらと手招いてる 巣張った誘蛾灯へと 回って落ちて はらり はらり 怖いわ どうしましょう 欲 拭ったほとぼりの追伸 一つとなって望むらくは 縋っていて どうぞ私にだけ 誰が妬ましい? もはや愛おしい? 健気に口を噤《つぐ》み 水に燃え立つ蛍だわ そうさせてしまったのはあなた 染まって 後生です 言葉の綾まで 残り香にも毒を塗るわ そうさせてしまったのはあなた どうか棲まわせて あなたの瞳に 奪ってしまいそうよ 私のものでないのならば 誰のものでもない 拘《かかずろ》うては成れの果て とてもあなたに見せられない 鳥肌を立てて ああ 爪を噛んでいる 呪縛よまるで うりふたつ 剥いた果実の化けの皮 虫も殺さぬ顔をして 腸の奥に ああ 修羅を飼っている 私とあなた うりふたつ