実に寒い夜だった 貨物列車の通りすぎる音がした これが最後と腹に決め 26のたくらみから足を洗った 新聞配達の自転車の音がした 酒の飲めない俺は食パンをかじった 錆びた10円玉をひっくりかえし 「ついてねえや」と やぶにらみした明け方の東京 生き恥をさらしても 裏街道はまっぴらさ ゴメンヨと詫びをいれ お前住む街へひっかえす 東中野の駅前に ああ 突っ立ったまんま 電信柱に ひっかけた夢 未練たらたら ひっかけた夢 <♪> 浜松町から羽田に向かった 公衆電話から奴に電話した 握りしめた受話器の向こうで 「頑張れや」って奴が泣いた 抜き差しならねえ 街だった 危うく俺の背骨を ぬかれるとこだった 性に合わねえから 家に帰るだけさと ふてくされた顔(つら)で 精一杯の負け惜しみ 俺だってあの日の海を死ぬまで 泳ぎ切るつもりさ あぶく銭にうもれて一生 男なんか演(や)りたくねえ あの時の電信柱に ひっかけたくやしさと諦めが 俺の胸をたたきやがる たらたらと 胸をたたきやがる 俺の胸をたたきやがる たらたらと 胸をたたきやがる