「あのね、若いうちってけっこう 何かにつけて絶望し易いもんだよ」 いつか誰かが置いてった そんな芝居じみた言葉を思い出した 嘘つきな天気予報と気まぐれな 太陽に 取り残されて いつもの帰り道で雨宿り 紫陽花の向こう走り込んできた 君がいた 降り出した雨の中ふたり 雷鳴と夏の真ん中で ずぶ濡れのままの君に 何も言えなくて 胸が苦しくて 何かきっかけをつくっては 君のいる場所まで自転車を飛ばした 誰に秘密の 約束などあるわけもないのに 人目を気にしたり 僕らは同じ景色の中には居たけれど 重ならなくて いま叩きつける雨音に蒸せ返る匂い 僕らの夏が交差した 降り出した雨の中ふたり 振り向けばそこに君がいる 本当は君を待ってた なのに見れなくて 胸が苦しくて 降り出した雨の中ふたり 雷鳴と夏の真ん中で ずぶ濡れのままの君に 何も言えなくて 降り出した雨の中ふたり 雷鳴と夏の真ん中で どうにでもなれと何度も 躊躇う僕を見て 微笑う君がいた