「何かにぶつかっても軽傷で 済むよう 一人で歩いている時は この速度では歩けないんですよ」 それは それまで想像では及んでいなかった 一緒に歩いたことで知れた 助けになる理由であった 「さっきのケガ大丈夫ですか?」 自身のなぐさめのために聞く 「大丈夫です」 との返事を期待していたが 痛そうに顔をしかめ 天を仰いだ 駅でその人を見かけるも 助けるという行為が 傷つける行為にもなりそうで その人が電柱にぶつかるまで 声をかけられなかったのだ 「あと一つ信号を渡れば 目的のスーパーに着きます 今赤なんで 少し止まりますね」 見知らぬ人と一緒に何かを 待つという行為自体がとても 穏やかなものであった 思えば 信号を 待ってる時はいつもそうであること に気が付く まだ赤です 向かいが点滅してるんでもう少しで 変わると思います あと少しです 今青になりました