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ソウルフードを君と

Track by七尾旅人

307
4
  • 2022.09.14
  • 8:56
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歌詞

クリストファー・コロンブス 15世期の半ば、 ジェノバで生まれた探検家 大航海時代の高揚は彼を 未だ見ぬ新大陸へといざなった 過酷を極めた船旅の中で、 空腹を満たせないとき、 コロンブスは架空の卵にひびを 入れ、 船室のテーブルに立ててみせた。 遥か海の向こうでは、 やがてインディオと 呼ばれることになる 赤い肌の人々が、 岩壁のコンドルたちの卵の表面に、 すこしの異変を見つけた。 果てしない暴力や、疫病の兆候を。 コロンブスの上陸後、 1492年からのたった 4年間で、 彼らの3分の2が殺された。 1619年 最初の黒人奴隷が新大陸 アメリカに降り立った。 奴隷船の船底は苦痛に震える 黒い肌で満たされ、 時々誰かが瞬きすれば、 宇宙空間に灯る生死不明の星々が 織りなす、 数千光年前の約束のよう。 荒波に激しく揺らされるたび、 もろい卵の殻のように 船体はきしんだ。 しかし故郷を奪われ、 言葉を奪われ、名前を奪われても、 彼らのリズムを奪うことは 出来なかったという そしてそのフレイバーも SOUL FOOD アルケミストのように フライパンを揺らす 喜びに火を注いで SOUL FOOD アルケミストのように フライパンを満たす 悲しみに塩をふる もういちど ホワイトの農場主が 放り捨ててしまう手羽を 煮立った油のなかで踊らせる ディープフライ それを今じゃ、 フライドチキンという SOUL FOOD アルケミストのように フライパンを揺らす 喜びに火を注いで SOUL FOOD アルケミストのように フライパンを満たす 悲しみに塩をふる もういちど 甘いな もうすこし 辛めで 甘いな もうすこし 辛めでいいかな 都会育ちのあの娘のスープ 今日はなんだか懐かしい味 忘れようもない この酸味 悦びと哀しみ 遠い故郷の景色 SOUL FOOD コンクリートのうえで フライパンを揺らす 喜びに火を注いで SOUL FOOD アルピニストのように フライパンを満たす 悲しみに塩をふる もういちど 甘いな もうすこし 辛めで 甘いな もうすこし 辛めでなければ 越えられない この分かれ道 臆せば 越えられぬ あの鉄線の向こう 21世紀のパンデミック 地球儀を塗りつぶす ミネアポリス I can't breathe 無人だったはずの街を、 埋め尽くしていく人々 「鍋を出せ」 「フライパンを、 キッチンナイフを」 「もっと強火で」 「ブラックペッパーを」 ああ、そんな声に、 海の向こうで誰かが呼応して さあ、食料を運び続けよう SOUL を運び続けるんだ、誰かのもとへ 僕の小さな友だち、 アフリカンの父親と生き別れ、 日本のママと暮らすあの子は エリザベス マイディア エリザベス マイディア 君の涙をあっという間にとめる 魔法のひとしずくを スプーンに垂らして フライパンの上の輝く卵にさっと 一振り SOUL FOOD 夢にまでみた味

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