周囲の心配も知らずに あまりにも若い結婚 勤め先のパン屋の 倉庫に住み着いた二人 慣れない街も やがて家になる 真夏の台風のあと 二人は親になる 二人はまだ子供 お金がなくても平気さ パン屋の倉庫で パン屋の倉庫で 七十年代の終わり 確立されない障害者の権利 世間は笑う 何もできやしないさと 若い二人の密かな夢 いつかこの小さな店の みんなで一緒に 世界一のパンを焼く 二人はまだ子供 お金がなくても平気さ パン屋の倉庫で パン屋の倉庫で 最初の息子の僕は タオルにくるまれ イースト菌の匂いを嗅ぐ それが膨らむ音を聴く やがてカタカタをついて立ち上がり 倉庫の隅まで歩いたよ いろんなパンで溢れてた アンパン食パンクリームパン 僕らはまだ子供 お金がなくても平気さ パン屋の倉庫で パン屋の倉庫で アンパン食パンクリームパン カレーパン 丸パン フランスパン 犬パン猫パン ライオンパン 象パン ロバパン ペリカンパン パンはどんどん形を変え 車になって気球になる 赤子を乗せて 地面を離れる 僕らはまだ子供 お金がなくても平気さ パン屋の倉庫で パン屋の倉庫で 二人はまだ子供 お金がなくても平気さ パン屋の倉庫で パン屋の倉庫で