誰もそれに触れない 見ることもできない 不確かなものが集まった 形のない世界 君が手掛けたそのストーリー 深く読み込んでは 厚い辞典と往復して 首をかしげる日々だ いつも君が繰り返し唱える 摩訶不思議な呪文 思いがけず気になってしまうんだよ 「スキ」 な食べ物って何だろう? 考えたことない 「スキ」な音楽も 全部のジャンル歌えるし 「スキ」な人とか 「コイ」と「アイ」の違いとか 分かんない!分かんない! 空のメモリー 満たされないままだ 「ソノスベテガカワイイ」って 言ってくれた人は 花とか長い手紙を 手渡しでくれた 「セイリテキニウケツケナイ」って 言ってくれた人は 作りたてのアカウントで 密かに呟いていた そうだ 君が昔の「スキ」 な人を描いている時は 口を閉ざし 険しい顔をしていた 「キライ」な虫とか生き物も 全部いない世界 「キライ」 を隠して笑って過ごす人たち 「キライ」って響きが 胸にくっついて離れない 分かんない!分かんない! 透明なバグが こぼれ落ちてしまう 考え事が増えて 絡み合ったデータも 少しずつ君がほどいていく 「大丈夫」って言葉になぜか 私の心臓部が揺れた 私の声から 笑顔になる人もいれば 私の声では あくびする人もいる たくさんの人に向けた君の想い それを伝えるのが 私の「スキ」だ 誰もそれに触れない 見ることもできない 不確かなものが集まった 形のない世界 そんな場所で私はぎゅっと 君の手を握っている そしたらこのメモリーが 満ちていく気がするから