底のすれたうわばき まるで銀の靴のようにして 誰もいない踊り場を 軽やかに舞う 暮れなずんだ空へと 一歩一歩 かけあがっていく 少しずつのびる影 追いこしていくように 凪いだ風 ひこうき雲 点々 水たまり とるにたりない景色 交わした目と目 校舎の屋上から いっせーので跳んだ 赤い羽 背に 冷えたコンクリに立つ 君にめがけて手を伸ばす 天使みたいに きれいな姿じゃないけれど その澄んだ瞳にのこれるなら いたいのいたいのも 消えてく しわだらけの予想図を 君はほこらしげに語った 煙るなにか おさえこみ 背中を見送る わがままは言わないけど 隠れてとなえた おまじない 「わたしが振り返るまで どうか待っていてね」 満たされないまま続いた ごっこあそび 空っぽな君に あいをおしえたくて終わらせる 君がねむり 明日が芽吹く 世界はとてもさびしいから 手すりに書きのこす走馬灯 とてもいたくて くるしいしいものが まちかまえている どうか はばたいた わたしのすがたに ときめいて さあ 屋上から いっせーので跳んだ 赤い羽 背に 冷えたコンクリに立つ 君にめがけて手を伸ばす 天使みたいに きれいな姿じゃないけれど その澄んだ瞳にのこれるなら いたいのいたいのも 消えてく