こんな綺麗な蒼空の どこら辺から雨が降るのだろう まだらに浮かぶ空の吐息 幻の種を手にした人 予報は外れないと 持ち寄った傘のせいで 片手を塞がれたまま手渡しで 預けるために拭った汗は 長くもたない灯りの下を駆ける すれ違い際、呼び止めてみる 見たこともない頼りの糸を たぐりよせる 幻と出会うのは怖いから この種を任せたよ 受け取ってみたものの 水をあげる勇気なんてなくて タバコをふかす人の吐息は 種を汚して消えた 持ち主はどこか遠く 置き忘れの傘を見つめて 水やりもできないこと 恥ずかしくなった 暗闇色のランドセル 足のつかないベンチから立ち上がる 喧嘩して負けたことよりも 違う何かが足りなくなる こんな綺麗な心は遥か彼方 タバコに纏われる人 見つめた傘のその向こうに 寂しそうな暗闇色 途方に暮れる迷子 煙が行く手を阻むから 踏み切る足の角度を ひとりぼっちを拭った声は 暗闇まで灯りを届ける 振り返り際、渡されたのは 見たこともない歴史の渦で汚れた種 移ろう雲 雨の予感 気付いたら二人だけ守られてた ひとりにひとつだけ 誰しもが握る幻の種 任せるのも 汚すのも 守るのも 咲かすのも 全部 君自身なんだ 僕自身なんだ