「少し溶けてしまったの」 手に残るべたつきが 拭えないまま残っている 指先絡めたんだ 息苦しい夏の隅で 変わらない日々数えて 探しても見つからない 巻き戻す選択肢 背中抱きしめて震える腕とか 汗の匂いとか 忘れられないあの日を 思い出す 「ふと思い出してしまったの」 蝉の声、埋めた隙間 震えた喉の記憶さえ 飲みこみ 誤魔化したんだ 遅れ咲く夏の菫(すみれ) 暖かい君の傍で かざしたら透けてしまう 花びらと共に去る日 全部抱きしめて震える腕とか 花火の声とか 忘れられないあの日を 駆け出してく 暑い夜 駅のホームで 焦る僕 からかってる またね言った 踏切が目の前に 白く光って 巻き戻す あのテープ まだ残る 感触を 思い出す