男は、いつも海を渡る。 船のように、 あてもなく世界を巡る。 港を探して、風に任せて、 進み、周り、走る。 人生に目的があるかなんて、 大半の男は考えもしないさ。 ああ、お金を儲けて、 女を手に入れて、 ささやかな社会の中に、 自分の居場所を 作れば終わりだと思っているのさ。 だから、欲しいのは港だけさ。 男は船、女は港。 そして、家庭ができる。 だけど、男は、勇ましくなくては、 港に停泊してばかりじゃ、 何のための一生かもわからない。 せめて、自分の航海日誌に、 どこの港から、 どこの舳先を周って、 何を載せて、どこに着いたか、 書き残したいものさ。 だから、ちっぽけな人生でも、 諦めることはなく、 華々しい豪華客船の旅行ばかりを 考えてはいけないよ。 でもね、自分自身の航海日誌に、 毎日一ページを加えると、 なぜか、心は弾んでくる。 確かに、今日も、 一日を生きたと、 これを三万日繰り返せば、 最期はどんな波止場が 待っているのか、 夢見よう。