街路灯に灯りが点く グレイの空、溶けてゆく 外れの公園で冷めた瞳の君と出逢う 降り積もる雪のように出逢いの刻は 重なる その瞳が熱を帯びた気がした 手と手を重ね合わせて、 営みを交わして、 口付けして、何処か血の味がして たとえば、あの日に見た一幕が 幻ではなかったとして それが君を遠ざける 理由にはならない だから、僕は君を欺くよ その瞳を曇らせはしないよ 震え、止まれ、止まれ 罪を看過する僕にその資格などない 穏やかなる朝食 途絶えてゆく消息 君の首に赫い跡、滲んでいた ささやかなる微笑みを、 硝子のような声を、 守る為に秤を傾けるよ 絡まり合う糸を強く引き合う それは僕が選んだ運命 解くことのできない硬く、 脆い意図だ だから世界よ、あと少しだけ 僕らのことを見逃してくれ なんて、愚かなのか 神の御許に還れはしないな 悴む手でなぞった紙に秘めた想い 前触れなく開くドアに落ち尽きた 秘事を 手に取った君は僕を見てた 瞳は揺らいでいた 凍えていく、爪先も 冷めていく、血の管も 些事なことだよ 騙しきれず、ごめんね 彼女は凍結した彼を前に 初めてその身を忌み嫌う 罪を知らぬ怪物への罰なのだろうか せめて最初で最期の贖罪は 彼に捧げようと彼女は その身、共に氷に 或るアパートメントの一つの部屋、 溶けない氷で閉ざされている