僕はゲンガー いつもこうやって後 ろ向いて指を咥えて どうせあっちに行ってもこっちに行 ってもニッチもサッチも誰かの 影に隠れたままなんでしょ 「おばあさん、この席どうぞ」 僕 は椅子に座ったままです 「あら、どうも助かりました」 見 て見ぬフリ、フリ、あぁん 最近の若者達は、なんてよく聞きま すけれど 何を隠そうワタクシこそが その最 たる例なのです こわい、こわい、他人の心の奥底 いない、いない、いない、誰の目に も入らない 僕はゲンガー、いつもこうやって後 ろ指刺されて笑われて そんな行ったり来たりの人生なんて 日の光を浴びないから 何度も影踏みするんだ さみしがり屋の僕の口癖 「あいつみたいになんてなれないよ 」 ほら、キミ、と僕の距離がまた開い て、追いつけないんだ ひとりぼっち、誰もいなくて 孤独な夜を何度も明かした 部屋の隅っこぽつんと咲く花に 勇気をもらった 君の心の中、覗いて 忘れ物を見つけました 僕は喜怒哀楽の感情が足りない 不完全な存在です 明日、また太陽昇って 陰と陽の境界できたら やっぱ 、逃げ続けるだけの人生な んでしょう なりすましゲンガー、そうだこうや って、君の影にずっと隠れて いつか照らされてこのまま消えちゃ えば、それでいいな