浅い息、 8月の匂い、 歪んだ窓、 少女は鍵を捨て深呼吸をした。 長い夢、 数列の途中、 目が覚めたんだ。 触れたら消えてしまう花の様さ。 15時の時報、 揺れるカーテン、 水槽の泡、 気付けば全て消えていた。 今、呼吸を止めたまま 繋いだその意味も 風を待ち飛べた日に写して。 人の波、 スクランブルのど真ん中で 少女は鍵を拾い大人になった。 走り書きの跡を 僕はそっと塗りつぶして。 この世界に色は無い。 彼女はそう呟いた。 繰り返す瞬きの数だけ重なる嘘。 親指、 送る過去、 滲んだレンズ、 切り取る今も見えなくて。 呼吸を止めたまま 繋いだその意味も 風を待ち飛べた日に写して。 あの日と同じ朝の中に ずっと探してる。 君に似た色だけを まだ求めてしまう。