雨上がり 気化した匂い 僕の街を雨が通り過ぎて 線路沿いの長い道で 濡れた傘がもう邪魔になったんだ 音もなく 季節は変わって 新芽の匂いを多く吸い込んで 電線伝いに散らばってく街並と 雨雲の背中 コンクリートに焦げ付いた影 掌を透ける日差しの赤 急行電車が風を切って頬を殴る 不意に乱れた 雨上がり 気化した匂い 僕の街を雨が通り過ぎて 国道またぐ歩道橋を 渡るとそこからは別の街 遠くへ もっと遠くへ 僕も知らない場所へ 遠くへ 連れて行ってと 願うばかりの日々 待ち伏せしたように降り出した雨 傘を差すのを迷うほどに細い 細い細い雨に濡れて 迷うほどに僕は乱れた パレットに五つの色 記憶を吐き出して描いて 雨の音が部屋に溜まれば 僕は君を迎えに行けた 黄昏を招き入れて 金網越しのお別れを 高圧線上空ウィ眺めていたら 孤独に撫でられた 遠い昔君と見てた高圧線の上 遠い日々を思う僕は高圧線の上