あなたと同じ名前 呼ばれて振りむく少年(ひと) 友達の方へ うれしそうに走ってゆく 私のそば あの頃の二人って 言えるほど前じゃないのに 守れるはずもない 幼い約束みたいに 思えてくる この道で 待ち合わせして 過ぎる風にひやかされてた 今は違う人のそばを歩く 私だけがいるけど 指がふいにペンを取る 書きかけの手記のように…… ひとひらの哀愁を 人は押し花にするの 抜けてゆく色を 時々確かめるように 本を開く あの店が 壊されたこと きっとあなたも知っているでしょう 今は過ぎる事の美しさを 感じている静かに まるで人には言わない 膝こぞの傷のように 今は違う人のそばを歩く 私だけがいるけど 指がふいにペンを取る 書きかけの手記のように……