真夜中 微熱を冷ますまで 幾錠せびっても 眠らない 計らずに 漂い 出逢いたい 色褪せた退屈に くちびるを交わして ロマンティカ抱いて この街は契れた呪文 呑み込んで 教科書通りの正しさも 今はわからなくていい 誰にも言わない 二人のこと 月並みな小細工で 最期まで 真夏の呼び水 溺れるまま すれ違う思惑に ゆびさきを這わして 堰を切って 言葉を吊った 「取り繕った美談が苦しい」 時間は熟れて 容(かたち)に触れて 初めての痛みを知った あなたじゃなくて わたしじゃなくて 男じゃなくて 女じゃなくて 何者でもない何かになりたい 二人の名前がそれを許さない 誰でもなくて誰でもいい 嘘つきばっかりね “愛”で片づけた虚しさを 今は見つめないで ロマンティカ描いて この街も千切れた絆 埋め込んで 欲に託(かこつ)けた“正しさ”で 今がわからないまま