Track by梶 芽衣子
酒を飲まない男に合わせ 女はそっとお茶を出す 昭和はじめの山の手の 家族の話が好きだった もうすぐ夜明けになる頃に 男は帰る 触れもせず どんな遅くに男が来ても 女はあける 古いドア 書きかけ仕事の ペンを置き 男の聞きたい話する 問わず語らず 恋心 男と女 触れもせず 同じ時代を生き抜いて来て 戦友だった 幾春秋 年はそれほど違わない 姉さん呼ばわりされたけど 渡れぬ川ではあるけれど 心はひとつ 触れもせず