不破野(ふわの)の 空を 東(あずま)より浪速(にし)へと 飛ぶ 鳥の影 糜爛(びらん)の 雲を 迅雷(じんらい)と貫く 戦端(せんたん)の矢か 太閤(たいこう) 存命(ぞんめい) 三郎(さぶろう) 起つ 合切(がっさい) 断滅(だんめつ) 昇平(しょうへい)ぞ来ん 其は 皆 無常人(むじょうど)の群 繰り返す 諍乱(じょうらん)も 果てぬ瑕(きず)も 和世(なぎよ)の 礎業と 称える 紫紺に 混ざる 色褪せた碧の 月映えは黒 弥栄(いやさか) 然れど 穢土(えど)を成す丈 不惑の罰 風雲(ふううん) 急告(きゅうこく) 独眼(どくがん) 並(な)む 噬臍(ぜいせい) 慚悔(ざんかい) 焉(いずく)んぞ 薨(みまか)らぬ 其は 今 落人(おちうど)の夢 揺り返す 大乱も 病める雉(きじ)も 無き世に 戻りて 手返(たがえ)る 天下人とて 手負いの猿(ましら) 斬るも 墜すも 思いの儘(まま)よ 戦乱(うたげ)の後に 残った屑は 巧く拾えば お主のものぞ 其は 皆 迷い子の群 口遊(くちずさ)む 大望も 志も 裄丈(ゆきたけ) 千代への 供物(くもつ)と 嗚呼 無常人(むじょうど)の群 繰り返す 諍乱(じょうらん)も 果てぬ瑕(きず)も 和世(なぎよ)の 礎業と 称える