寒がりな右手に握る余裕を 空いた片耳を埋める音楽を 探していた 18の春 どこまでも行ける気なんて しなかった 奪ってしまったあの時間と 奪われていたあの瞬間を 流した涙混ぜながら重ね合わせて 1にした 傘を差す気もさらさらないまま 歌をうたっていたよ 呑気なあの僕のまま 重ねた手から零れ落ちたそれに すがって縋って抗って 何もないから 春に縋る 行き場さえ無くした お揃いのつま先を 夢ばかり見る薄暗い夜を どうしてくれるの どうしてくれるの 君がいないと夜のひとつも 越えられない わたしももういないからさ でも君のことも 18の片隅に残しておいてあげるよ 君を見る気もさらさらないまま 勘違いしていたよ 呑気なあの僕のまま 濡らした頬からはらり花びら 落ちて 縋って 抗って 何かを捨てて春に縋る 春に縋る