今年もこの季節がいたずらに ぬるい風を肌で感じさせる 忘れたはずの心がざわつき 淡い色と共に舞い落ちていく あの人は今どこで生きている? いやそんなのどうだって いいはずでしょ! 何だろう この懐かしい香りは? …そうだ、 二人で拾った花びらだ いつも寝ころんだ芝生は変わらず 青々と語りかけてた でも私は気付いていた あなたの小さな変化に 愛は花開くと共に生まれて 新しい命に包まれ育み 散るまでの間 短くても ただ「きれいだね」 と言われたかった 交わした約束は疑う事なく 大切に握りしめていた いつからかあなたは上の空で ついには 裏切った 桜 花びら光り舞い散って 涙を溶かした川に流れゆく もう一度会いたい あの頃の 私を見る美しい笑顔に いつか花びらは全て散り落ち 足音を消すように道を覆い 静かに 土に溶けていっては 何事もなかったように 消える 本当はあなたを 桜を見るたびに 今でも思い出す 忘れてしまいたい もし忘れられたら どんなに楽なのか 手帳に挟んだ一枚の桜を 五階の窓から ぬるい風にのせて 手放してもいいわ 全てを託します 一生の涙を 枯らしてしまえれば もう二度と辛くならずに済むのかな ねえ…