死の記憶 病院の天井ながめながら ゆっくりと 死ぬ瞬間を味わう そんなもんだと思い込んでいた 家族に見守られ安らかに だけどまさか 殺人の現場にいあわせるなんて 聞いてない えぐられた心 泣き枯らした喉 大切な人を殺されたのよ もうとても一人じゃ生きてゆけない どうしたらいいの この感情 わたしの記憶ではないと わかってる だけど傷ついた わたしの心 男の記憶 女の身体から 包丁を引きぬくと勢いよく 血潮吹き出した まだあたたかい血がねっとりと 頬をつたう 「お前が犯人だ」と 印をつけられた心地がした ここにつっかえる何かがある 真実を知りたい どうして妻を殺した? どうしてママは死んだの? あの子はどうなるのか? 同じ名前の少女の記憶 自分の記憶じゃないのに 絶対に許せない 本当に彼が殺したのか 父親の存在なんていらない 理解できない ママさえいれば 真実を知りたい 満たされる もう一度記憶を ママ(妻)に会いたい