「嫌になって飛び込んだ列車」 嫌なのは嫌になることがない事 前よりは幾分か楽なのに くだらない嘘を身に纏ってる ガキの頃買い続けた漫画 230円の10倍がいま 2時間の飲み会で消し飛ぶ度、 白々しいが気持ち悪さに混じる この街ももっと静かなら 彼もギターなんて弾かないだろ 今日も明日も昨日も明後日も 替えのきかない日ならいいのにね それとこれとは話が別だって 言い聞かせてはみてるけど 5年後10年後の日々を 気にしながら怖くなる事はないかい 泣きたくない日なんてないけれど 今のこの日々も悪くないよな 夜の中央線、長い道 後方に流れる、光る町 到着は九時五十八分 誰かとの約束なんてない 夜の中央線、長い道 後方に流れる、光る町 切符に踊る青い春の文字 憎たらしくて逸らした目に写るのは 街の星 斜に構えすぎて逆さになった 頭で薄々気づくのは 暮らしの重みが軽い事 自分に才能が無い事 言い逃れできる年を遠に過ぎ 妥協の妥協で暮らしても 起きて食って働いて食って 寝て起きたらまた 素晴らしい日々だ 夜の中央線、長い道 後方に流れる、光る町 どうしようもない事が増えたら この歌を受け取ってくれないか 夜の中央線、長い道 後方に流れる、暗い町 到着は九時五十八分 記憶が違わなきゃ ここから君の家が見えたね 海の水平線、低い町 隣の席の人が持つ酒は 耐えきれなくなった時に使う 起死回生の奥の手なのかも 空の放物線の下で見た 誰しもが追いかけた未来とは 程遠い現実を選んでも 誰も君を馬鹿にする権利なんか ないってさ 夜の中央線、長い道 後方に流れる、光る町 どうしようもない事が増えても どうか何か望んでくれないか 夜の中央線、長い道 後方に流れる、暗い町 到着は十時三十分 誰かの所為でダイヤが 乱れているらしいぜ 最低気温と最高気温 誤差ゼロで収まった日常が 連なって千切れて捩れあって 輝いてくすんで底になって ベルが鳴って飛び降りて 改札に乗車券だけ流し込む さっき見た街の星の一つ 扉を開けて右手、手探りだけで灯す