通り過ぎて もう帰らない 夕月を追う 日に瞬いて ここは仮宿 いつか出てゆくところ ただ束の間に起きるための ただ束の間を眠るための かすかな笑みも この声も借り物 知らぬ間に預かったこと まだ返せず胸にある 音 確かめよう 本当に鼓動はひとつなの 息を吐くたびに 増えていくクローン 声は響きあう そこかしこ いななきを抱いた生き物 その潤んだ眼と ふと ぶつかった かがやきに色彩は飛ぶ 記憶と振り向く 遠く 呼ぶ 通り過ぎて もう帰らない 夕月を追う 日に瞬いて ちぎれそうな光を 束ねて ここは仮宿 いつか出てゆくところ