鏡の中で 剃刀を持つ 右手は少し 震えてた 空はとても青くて どこまでも飛んでいけるような 気がした どこかでは今日もまた誰かが死んで 生きたいと泣いていた誰かも死んで 私は独りで 排水溝に流れていく血をただ 眺めていた 溢れ出る血は 深く赤く 他人事のように 温かかった 風が妙にぬるくて 季節が移ろう匂いがした、気がした どこかでは今日もまた誰かが笑い 死にたいと願ってたあの子は死ねて 私は独りで 死ねもしないで暗闇でとても息が 苦しかった 私にはまだ 飛び越えられない 線の向こうに あの子は笑いながら 誰しもが祈るように今日を生きて ささやかな幸せを願い生きて 私だって願ってた 排水溝に流れていく赤をただ 見つめながら