その手に触れる術はなく 君の居た刹那をそっと愛する 唯一ある座にもう一方は物謂わず クチナシ:ふたりの秘密と規則 繋ぐ赤い糸は屹度 ひとつの存在に縛る制約 唯一ある座にもう一方は声を喪い 沈みゆく深い静寂の其処 私が眠る中貴方は誰を 何を夢に見て唄うの 貴方が紡ぐ時間の揺篭 私は花を凍らせ佇む 私が消えたら貴方は何を その目に浮かべて唄うの 貴方が描く理想の牢の中 私は聖歌を仰ぐばかり 宵の闇の中 絵の様に游ぐ 自由で窮屈 孤独の詩篇 ふたり唄えど 散りぬる泪 小さな世界が軋む 互いを映す水鏡 向こう側の影絵に輪舞を誘う それは悲劇か喜劇かぐらぐらと 揺らめくけれど今は私を見て 重ねる身体も持たずに ただ魅せられている音盤の針 手のない手で手探りさ右左 迷い路に吁、愛し君を捜す 螺子の外れた 何本も抜けた ひとつ憶えの哀歌 恋しさは憧れ惑い 身に余る重荷となりぬ 朝に眩む陽を幾つ数えて 螺旋の階段幾つ下れば 問うているのは何方の私 軋む世界が続く 続く 互いを映す水鏡 向こう側の影絵に輪舞を誘う それは悲劇か喜劇かぐらぐらと 揺らめくけれど今は私を見て 重ねる身体も持たずに ただ魅せられている音盤の針 手のない手で手探りさ右左 迷い路に吁、愛し君を捜す 廻る意識に私、貴方を識る