安らかに 眠れる日々は、 それだけで 幸せだとは 気づかなかった。 母の愛に包まれて、 綿菓子のように眠った。 父は北極星のように、 いつも存在していると思っていた。 けれども 夢の中だけでは、 私は自由だった。 無力で 孤独だったけれど、 限りなく 高く 空を飛んだり、 森の中を駆けたり、 暗い海の中で 溺れそうになったこともある。 安らかに眠れる日々は、 それだけで 幸せだとは 気づかなかった。 過去に 吸い込まれたり、 未来に押しつぶされそうになった。 亡くなった人だとも気づかず、 皆んな生きている人だと 思っていた。 ああ、恐いのは、 夢か、それとも現実か。 あの世もこの世も、いい夢だけで、 ずっと騙されていたかった…。 自分が「心」だけの存在だと、 気づく、その日、その時までは…。