何もかもが長かった。 そして、 何もかもが短かった。 自分の生命を燃やし続けて、 そのはかなさを守り続けるのは、 とても長かった。 そして、その激しさを見る時間は、 とても短く、つたなく感じた。 大部分の時間は、 せつない思い出で、 埋めつくされている。 夏が来るたびに、 自分が得たものと、 失ったものとが、 通り過ぎてゆく。 まるで吹き抜ける風のように。 一人の人間として、 成し遂げられることは数少ない。 おまえはそれでよかったのか。 これで満足できたのか。 心はうめくように、 深い水の中に沈んでゆく。 湖の底に、しばし、うずくまって、 沈黙の声を聞く。 林の中では、 かすかに蝉の声が響いてくる。 はかなくて、 つたなくて、 それでも毎年 新しい歌をうたうものが、 ほかにもいた。