初めての感覚だった 生温(なまぬる)い ただただ 温(ぬく)い温度 袖に触れて気が付いた 気が触れたの間違いだと思った 色のない世界だった 彩度のない ただ中身ない 誰が誰かもわからない 区別のつかない そんなスランバーランド 夢の中へようこそ ここは何処でもない 何処へだって行けない ぐるぐると流転する時間と視界 果てなどない終わりなき迷路 その場凌ぎ 適当な遊び ヨーヨーのようによく出来た筋書き 誤魔化し誤魔化され自分すら 騙せないだろうか 空を見た 海を見た 青がわからない わからない 擦りむいた指を見た 滴る温度 熱く満たした 赤を見た 世界が色付いた 嗚呼! 酷く可笑しい 脆く愛しい 世界を哀してみせよう さぁ! 辛く疚しい 苦く虚しい 自分を愛してみせよう その目に映った深紅の一滴が 灰色のこの海を染めた 蝶が花の蜜を吸うように 私がその赤を飲み干したい 夢の中へようこそ ここは何処でもない 何処へだって行けない ぐるぐると流転する時間と視界 果てなどない終わりなき迷路 その場凌ぎ 適当な遊び ヨーヨーのようによく出来た筋書き 誤魔化し誤魔化され 自分すら───。 空を見た 見ようとした 外はわからない 覗けない 擦りむいた指を見た 滴る温度 熱く満たした 赤を見た これが これが これが 求めていた彩りだ 嗚呼! 酷く可笑しい 脆く愛(かな)しい 世界を哀(あい)してみせよう さぁ! 辛く疚しい 苦く虚しい 自分を愛してみせよう 嗚呼! 暗く光った くすみ濁った この血に‘‘愛’’と名付けよう さぁ! この手で裂いた花はいつしか 風に吹かれ消えゆくだろう 一瞬 輝きを取り戻す一瞬を ずっとずっと探し求めて やっと見つけた世界は眩しくて 極彩色に変わるのさ その目に映った深紅の一滴が 灰色のこの海を染めた 蝶が花の蜜を吸うように 私がその赤を飲み干したい その色は私のものだから 飲み干したい