梅雨の憂い掻い潜って 乾きかけの風を切った 「君となら」ってさ 擦った鼻 恐れは何もなかった この時を書き記した 二人だけの秘密の本は コブシ大の心の蔵に 納まりきらない程に 夕暮れの鐘 弾む心と 西日の向こう側へ 夏の夜に咲く 線香花火が 黒に溶けて 夜が落ちる最中 揺れる残火が 映す君の目に 確かな夢を見た こだまする蝉の声に 苛立ちを知ったのはいつだ 「もう要らない」ってさ 離した手が 守れるモノはなかった いつからか僕は僕で 君は君と 音弄った 行き場の無いこの旋律 ただ何かを祈るように 夕暮れの鐘 慣れた別れは 西日に染まるようで 夏の夜に咲く 線香花火は 青き日々の僕らのようだと 揺れる残火に 落ちたその涙 今は煙の中 簡単に指を結んで 曖昧に交わしたせいで ほら 情熱に嘘までついて 今以上を望んでたんだ ねえ、聞いて 特別は あの日だけじゃない 与えられ 道を見つけた僕らは 次に与えていくんだ 夏の夜に咲く 線香花火に 誓い合おう 夜が更ける前に この蛍火に 風が吹く時は 手を添えよう 仰ぐ夜空を 駆け抜けた星を 羨むだけの僕らじゃないさ 燃え上がる火が 映す世界には 夢しかないはずだ 僕らはいつか